マイクロ秒の高速現象を捉える超高速干渉計
従来干渉計は静的な対象物が主な対象でしたが、非破壊・非接触計測や高速かつ瞬間現象の可視化ニーズの増加を踏まえ、世界唯一の偏光高速度カメラCRYSTAを軸に独自の干渉光学系による高速干渉計「DELTAPH(デルタフ)」を開発。干渉計測の対象を高速な動的現象に拡張します。
一般的な干渉計はリファレンスミラーを機械的に駆動するため高速化に限界があり、また瞬間現象をワンショットで計測することができません。しかし、DELTAPH干渉計は弊社独自の偏光計測技術を応用することで、機械駆動なしにワンショット計測が可能になりました。
高速かつワンショット計測が必要なアプリケーションの一つに音場イメージングがあります。音は空気中を秒速340メートルで進むためワンショット計測が必須です。DELTAPH干渉計はシャッター速度1マイクロ秒以下で計測でき、また1秒あたり7000枚以上の位相画像を計測できるため、音が空気中を伝播する様子をブレなく可視化できます。また、測定されるデータは定量的な位相情報であり音場計測の場合は空気密度に関係しているため、従来の音場可視化手法では不可能だった定量的な評価を実現できると言われています。
また干渉計の参照面の代わりに鏡面サンプルを置けば、表面のわずかな形状変化(振動)の測定も可能です。
応用例:流体イメージング
1.ハンダごて周りの熱対流の可視化
ハンダごて周辺では、加熱された空気が上昇し、複雑な熱対流が発生します。
DELTAPH干渉計は、温度変化に伴う空気の屈折率変化を位相情報として検出することで、目には見えない熱対流を非接触・トレーサレスで可視化します。
2.高速射出に伴う圧力波・気流の可視化
エアガンからBB弾を発射した際の、銃口周辺の空気の挙動を10,000 fpsで撮影しました。
発射直後にはBB弾よりも先に銃口から伝播する圧力波と考えられる変化が確認され、その後、圧縮空気の噴出とともにBB弾が射出される様子を捉えています。
DELTAPH干渉計では、圧力変化に伴う空気密度・屈折率のわずかな変化を位相情報として検出することで、肉眼では見ることのできない高速な空気の挙動を可視化できます。
本測定では10,000 fpsの高速撮影により、発射時に生じる圧力波、圧縮空気の噴流、BB弾の射出を時間分解して観察しました。
3.CO2ガスリークの可視化
CO₂ガスを流したチューブに微小な開口部を設け、そこからガスが漏れ出して周囲へ拡散する様子を可視化しました。
CO₂と周囲の空気では屈折率が異なるため、ガスの漏出に伴って生じる屈折率変化を位相情報として捉えることで、肉眼では見ることのできないガスの挙動を観察できます。
DELTAPHでは、煙や粒子などのトレーサーを添加することなく、実験環境下でガスの漏出・拡散挙動を可視化することが可能です。 ガス流動の基礎評価や、条件による拡散挙動の比較などへの応用が期待できます。
応用例:音場イメージング
1.超音波トランスデューサからの球面波
40 kHzの超音波トランスデューサから放射される球面波を可視化した例です。
空気中の音波に伴う密度変化を位相情報として捉えることで、通常は目に見えない音波の伝搬を観察できます。
動画の途中では金属板を挿入し、音波の反射、入射波と反射波の干渉、さらに金属板の端部を回り込む音波(回折)の様子を可視化しています。
DELTAPHにより、音場そのものを乱すことなく、音場の複雑な挙動を非接触で可視化できます。
2.カスタネットを利用した音の伝搬
撮影速度:10万FPS
インパクトの瞬間は強く周波数の高い(縞間隔の狭い)分布が見えます。
数ミリ秒後以降は徐々に周波数が低くなり(縞間隔が広い)減衰します。
カスタネットを打撃した際に発生する、過渡的な音波の伝搬を可視化した例です。
DELTAPHでは、周期的な音波への同期や繰り返し計測を必要とせず、各時刻の位相分布を高速に取得できるため、単発の衝撃音など非周期的な現象も観察できます。
本測定では100,000 fpsで撮影し、打撃直後に発生する強い音波が空気中を伝搬し、その後数ミリ秒の間に音場が変化・減衰していく様子を捉えています。
このように、定常的な音場だけでなく、衝撃音や瞬間的に発生する音など、時間変化の速い過渡音響現象も可視化できます。
3.超音波浮上
超音波浮上装置によって形成された音場を可視化した例です。5つのポリスチレン球が、超音波によって形成された定在波中にトラップされています。
DELTAPH干渉計では、空気中を伝搬する超音波に伴う密度変化を位相情報として捉えることで、浮上物体周辺を含む音波の波面を高速に観察できます。
また、取得した波面動画データの時間変化から各画素のRMS値を算出することで、音場強度の相対分布を可視化できます。
この分布を見ると、ポリスチレン球が超音波の定在波の節に対応する位置にトラップされていることが分かり、超音波浮上場の構造を二次元的に把握できます。
このように、瞬時の波面イメージングとRMS分布の両方を用いることで、超音波浮上における音場形成とトラップ位置の関係を視覚的に評価できます。
撮影協力:工学院大学 長谷川先生
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音場強度の相対分布(位相変動RMS) |
超音波浮上装置とトラップされた5つのポリスチレン球 |

笛から放射される音波と、吹き込んだ空気による気流が同時に発生します。
DELTAPHでは、空気の密度変化に伴う屈折率変化を高速に計測することで、これらの現象を同一の位相動画として記録できます。
取得したデータには、高速に周期変動する音場成分と、比較的ゆっくり変化する気流に伴う密度変化が重なって含まれています。これらの時間変化の違いを利用して成分を分離することで、音場と流れ場をそれぞれ個別に可視化できます。
左の動画は音場成分を抽出したもので、犬笛から放射される音波の伝搬を示しています。右の動画は音場成分を除去し、吹奏によって生じる気流に伴う密度変化を抽出したものです。
このように、1回の計測データから、異なる時間スケールを持つ複数の現象を分離して解析することができます。
従来干渉計との違い
干渉計で物体面の形状(=位相)を測定するためには、参照面を移動させながら測定するため、従来干渉計では高速測定に不向きでした。当社は従来の干渉計に「偏光」の要素をプラスし、ワンショット計測(高速撮影)が可能な新しい干渉計を開発しました。
従来干渉計は参照面の機械駆動が必要
DELTAPHは偏光カメラによってワンショットで位相計測を実現
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