次世代加工の研究開発と実用化支援

ビーム形状制御、偏光ビーム制御、熱分布イメージング、発信器改良など

 レーザー加工技術の発展は目覚ましく、自動車、燃料電池、など活用分野が広がっており、将来的にはバイオ材料や結晶材料などへの応用が期待されています。加工手法としても切断、溶接、穴あけ、溝加工、表面改質など、その用途は多岐に渡ります。一方、加工用途が多様化している昨今においては、レーザー加工へのニーズは加工スピードのみに限られません。たとえば、切断における切断面品質の向上、溶接においてはスパッタの低減など、各分野で新たな課題が山積しており、課題解決ための研究開発が急ピッチで進んでいます。これらの加工精度に関わる課題では従来の波長、光学系、そしてアシストガス等に加え、レーザービーム形状、偏光分布制御が重要な因子となっています。特に、現在導入が進んでいるファイバーレーザー加工では、切断面の粗さ、デブリ、切れ味、テーパー形状などの課題が発生しており、新たな光学的アプローチが必要とされています。

レーザーの加工速度とビーム品質との両立の手段として”偏光制御技術”への期待が大きくなっています。レーザー偏光軸を制御すれば、局所吸収を制御でき、加工部形状を変えたり切断スピードを上げることができることが知られてるためです。CO2レーザーでは偏光を円偏光にすることで加工部形状の異方性を解消してきましたが、偏光技術のご利益はこれだけに留まりません。たとえば、パンチャラトナム・ベリー位相という波面制御原理に基づき、異なる偏光軸を空間パターニングした素子を用いると、高精度なビームシェイピングが可能になります。スパッタレス溶接等の分野ではスパッタによる火災や加工面の荒れを防止するためのビーム形状(セントラルビーム+リングビーム)の制御が行われており、こういった研究開発や応用が拡がっています。

フォトニック結晶によるビーム整形
例 ガウシアン分布をドーナッツ形状に整形

フォトニック結晶による偏光分布制御
例 一様な円偏光分布を放射直線偏光分布に変換

従来、ビーム制御法としては、DOE, 非球面レンズ(アキシコンなど)、空間光変調器、ホモジナイザ、フィールドマッピングといった技術が提案されるものの、ビーム形状、波長帯域、耐光性の観点で使用が制限されるケースが多い事に加え、加工用途に合わせた柔軟かつスピーディな試作サイクルに課題があり、近年の急ピッチな開発ニーズに対応できていない課題がありました。また、ビーム品質向上の技術開発のためには、ビーム形状、波面制御、偏光成分の制御手法開発のみならず、加工効果の確認をおこなうための最適な光学系を構築する必要があります。当社では、独自の偏光ビームシェイピング技術を保有しており、高精度なビーム制御の素子提供が可能です。更に、素子の設計から製造までの一貫した内製化を実現しており、多様化するレーザー加工分野のニーズに迅速に対応するノウハウと試作・量産サービスを提供しています。

更にレーザー加工パフォーマンスを評価するための、高速度カメラによる可視化、赤外カメラによる熱分布、偏光カメラによる内部在留応力評価技術を保有しており、光学素子の提供だけではなく、その評価も含め、統合的なソリューションを提供することで、レーザ加工の高精度化に貢献してまいります。

レーザ溶接における被削材の温度分布

溶接プールの高速度サーモグラフィ

CO2レーザ溶接の高速度カメラ撮影

カテゴリ

  • #超精密微細レーザ加工ソリューション
  • #フォトニック結晶光学素子

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