レーザ加工にパワー以外の選択肢を。「偏光制御素子」で更なる効率化

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2023/6/8配信メルマガ

こんにちは。フォトニックラティスです。

フォトニックラティスではレーザ加工での市場開拓を開始しています。

本メルマガでは、フォトニックラティスの開発者が何を考え、どのようにレーザ加工の市場に貢献しようとしているか、その様子を順次お伝えしていきます。

第1回目は偏光と金属加工の関係についてです。

偏光と金属加工の関係

 

光の教科書では物質の表面での反射を説明する際、「P偏光」、「S偏光」という言葉が出てきます。

図1に示すような反射が起きる場合、紙面に平行な偏光はP偏光、垂直な偏光はS偏光とよばれます。
(筆者は勝手に垂直(SUICHOKU)だからS偏光と覚えています。実はPは英語のParallel(平行)から、Sはドイツ語のSenkrecht(垂直)から来ています。なんででしょう?)



一般的にP偏光の反射率が、S偏光の反射率に比べ低くなります。

反射率が低い、ということは反射以外のどこかにエネルギーが行っていることになります。

通常、ガラス、水などの透明なものであれば、反射しない分、透過するエネルギーが高いことになります。

一方で金属などの光を吸収しやすい材料は透過したエネルギーがすぐ吸収され熱になります。

結果として、P偏光のほうが光の吸収率が高いということになります。

つまりレーザ加工で物質に熱を与えたいのであれば、P偏光のほうがいいということになります。

偏光を制御することは、加工効率に影響を与えそうです。

 

余談ですが、立体物の反射光の偏光方向をみると、物体の面に平行な方向の成分が強くなります。

これは物体の向こう側から入ってくる光が、物体表面で反射される際、S偏光のほうが反射率が高いためです。
(この場合、図1を右から見た状態となるため、S偏光画面に平行に見えます。)
そのため、偏光イメージカメラなどのデバイスでそれぞれの場所の偏光方向がどちらを向いているかを調べると、

それぞれの場所の面の向き、つまり物体の形状情報を表していることに気づきます。

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