特徴

分光ポラリメーター Sci-Ral

光の偏光状態、複屈折(R0、Rth)、ミュラー行列を
分光測定する多機能偏光測定機

分光ポラリメーター「Sci-Ral (サイラル)」は光の偏光状態や複屈折をはじめとした光学材料の偏光特性を広い波長範囲(400~800nm)と波長分解能2nmで分光(多波長)測定できます。
また、ディスプレイに使用される位相差フィルムなどの複屈折(リタデーションと進(遅)相軸)の測定や、複屈折以外の偏光特性(2色性、旋光性、偏光解消)が評価できるミュラー行列測定への機能拡張が可能です。

複屈折測定

光学フィルムをはじめとしたディスプレイ材料や、波長板などの光学素子の複屈折によるリタデーションと方位を測定します。分光測定することでリタデーションの分散(波長による変化量)を実測評価することができます。分光測定によって、測定したλ/4位相差フィルムが正しく機能する波長を特定することができます。
(上から各波長のリタデーション、遅相軸)

ディスプレイ用視野角改善フィルムなど一部の光学部品は非常に大きなリタデーションを持っています。本装置はフィッティング機能によって、数万nm以上のリタデーションを解析できます。また、装置が測定できないλ/2nm付近のリタデーションもフィッティングカーブを使って正確なリタデーションを求めることができます。
(上からリタデーション測定値、フィッティング後の実際のリタデーション(9190nm@λ532nm)、遅相軸)

Rth測定

ディスプレイ用位相差フィルムの評価に必要な厚み方向位相差Rthの測定ができます。オプションの手動傾斜回転ステージを用いた正面および斜入射位相差データを元に3次元屈折率とRthを求めます。
Rth測定画像

ミュラー行列測定

ミュラー行列は、材料や光学系の偏光特性を網羅したパラメーターで、4×4の行列です。Sci-Ralは各波長のフルミュラー行列を測定するため、ミュラー行列の表示は4×4=16個のグラフで表示されます。Sci-Ralにはミュラー行列から複屈折、2色性、旋光性、偏光解消といった偏光特性に分離解析する機能が搭載されています。また、ミュラー行列の利用方法として、入射偏光を仮定することで材料や光学系を通過した後の偏光状態をトレースすることができます。

●測定例1 光学素子評価
波長板(位相差板)のミュラー行列から偏光解析することで、複屈折によるリタデーションや軸方位以外の偏光特性を評価可能です。一部の広帯域波長板はリタデーションだけではなく進(遅)相軸が波長方向に変化していることが知られていますが、さらに一般的な波長板では見られない旋光性(直線偏光が回転する特性)の有無も評価できます。

ミュラー行列

解析結果(上からリタデーション、進相軸、旋光性)

●測定例2 ポリイミドフィルム
芳香族ポリイミドは短波長で光を吸収するため茶褐色をしており、測定したフィルムは波長400~550nmあたりで光が吸収されます。ミュラー行列解析によって吸収波長における2色性と、複屈折によるリタデーションを分離評価可能です。このような解析によって、材料内部の構造をミクロ(分子サイズ)とマクロ(サブミクロンサイズ)で多角的に評価することが可能と言われています。
左画像:ミュラー行列。右画像:解析結果。(上から2色性、リタデーション)

偏光(ストークス)測定

光の偏光状態を表すストークスベクトルとよばれるS0からS3の4つの数値を分光測定します。また、偏光状態を把握しやすくするために、(楕)円偏光の形状を表す楕円率、長軸の向きを表す軸方位、偏光と無偏光の割合を表す偏光度も表示します。そのほか、ポアンカレ球や偏光状態をイラスト表示によって直感的に偏光状態を把握することができます。

●測定例1 円偏光板
円偏光板を測定すると以下のことが分かります。
・円偏光の左右回転方向の識別
・完全円偏光になる波長
・円偏光板として機能している波長範囲

上から楕円率、偏光軸方位、偏光度

●測定例2 波長板(位相差板)
直線偏光を0次水晶波長板に入射した際の出射偏光です。水晶波長板の構造(2枚の水晶の貼り合わせ角度誤差あるいは結晶の不均一性)が影響して、偏光状態が波長方向に細かく振動するような変化が表れています。

上から楕円率、偏光軸方位、偏光度

●測定例3 光学系
光学素子単体の測定ではなく、様々な光学素子で構成されている光学系通過後の偏光状態を測定することができます。図の結果は、偏光ビームスプリッターが内蔵されている液晶プロジェクターからの投影光の測定結果です。赤(波長580nm以上)、緑(波長500~580nm)、青(波長500nm以下)でそれぞれ偏光方位が90度異なります。また、3色のつなぎ目は偏光度が低下しています。

上からストークスベクトルS0、楕円率、偏光軸方位、偏光度

●測定例4 反射光測定
コガネムシは表皮構造によって反射光は円偏光になることが知られています。例えば写真のコガネムシの標本を円偏光板を通して観察すると右回り円偏光板の場合は黒く観察されます。標本に対して無偏光の光を入射して反射光を測定すると、反射光の一部は左回りの楕円偏光になっていることが測定されています。このような材料構造起因の偏光は、その構造形状によって偏光特性が発生する波長が変化するため特に分光測定が有効です。

観察写真
切り抜き写真

●測定例5 蛍光測定
蛍光等の発光の測定が可能です。図の結果はPL(蛍光)の結果で、蛍光色素を導入した右回りコレスティック液晶の円偏光が検出されています。(S3の波長440nm付近)
(Tokyo university of science, Prof. Furumi)

上からストークスベクトルS0、S1、S2、S3

カスタム対応

基本構成を軸にアプリケーションに合わせたカスタマイズのご提案が可能です。
・光源
・サンプル測定のための各種光学部品
・透過、反射ベンチ
など

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