製品 | 2021/1/6

こちらのページでは2次元複屈折評価システム「PA/WPシリーズ」の

測定原理、装置の構成、測定事例などについて詳しくご紹介しています。

2次元複屈折評価システムPA/WPAシリーズ

目次

1.複屈折測定の基本

光の三要素

光の振幅:明るさ

①振幅:明るさ

光の波長:色

②波長:色

③振動方向:偏光

光の振動方向:偏光polarization

他の2要素と異なり、偏光は肉眼で識別できないので直感的な把握が比較的難しい。
しかしながら、液晶パネルなどに広く利用されている。

偏光と偏光子を使った偏光計測の基本原理

 偏光子を回して透過光量の変化を観察

偏光子polarizer

入射光の偏光 ∥ 偏光子の透過軸

       ↓

      100%透過

偏光子polarizer

入射光の偏光 ⊥ 偏光子の透過軸

       ↓

       0%透過

偏光子polarizer

     45度の場合…

       ↓

       50%透過

偏光と複屈折と位相差について

◆屈折率とは:光の通り易さ

屈折率refractive index

屈折率の大きい物質ほど通り抜けるのに時間がかかる。

※光学距離=屈折率×長さ

屈折率1.5のガラス中では、光の伝播速度は1.5分の1。

◆複屈折とは:偏光により屈折率が違う状態

屈折率refractive index

複屈折値の例

材料常光異常光複屈折値
(⊿n)
方解石1.65841.48640.172
水晶1.54431.55340.0091
サファイア1.7681.760.008
1.3091.3130.004

位相差=複屈折×距離

ここでは同一物質の同一箇所を、異なる偏光が通過することを想定。

従って距離は一定。→ 位相差∝複屈折

複屈折が偏光状態に及ぼす影響

◆偏光成分の位相差とトータルの偏光状態

直交する2偏光成分の足し合わせで、あらゆる偏光状態は記述できる。

同位相

※赤の波が最大値のとき、緑の波も最大値(色は波長とは無関係)

直線偏光linear polarization
直線偏光linear polarization

直線偏光

位相差90度

※赤の波が最大値のとき、緑の波が0

円偏光circular polarization
円偏光circular polarization

円偏光

◆直交する2偏光の位相差が、偏光状態を様々に変化させる。

複屈折birefringenceの変化

複屈折を持つ物質が透過した偏光を変化させることがわかる。

◆複屈折を有する物質は、透過光の偏光状態を変化させる

【複屈折のない透明体】

複屈折birefringence
通り抜ける前後で
偏光状態は変わらない

複屈折birefringence
クロスニコル配置の偏光に
挟んでも見えない。

【複屈折のある透明体】

複屈折birefringence
通り抜けた光線の
偏光状態が変化する
複屈折birefringence
クロスニコル配置の偏光子に挟むと、
複屈折に応じて明るく見える。

透過軸方位が直交する2枚の偏光子は光を全遮断する。

            ↓

この間に複屈折の無い物質を入れても真っ暗なまま。

           ↓

複屈折のある物質を入れると、その物質で変化された偏光は、

2枚目の偏光子を透過するため明るく見える。

応力による複屈折の発生

複屈折性のない透明材料でも、応力により複屈折が発生する。

これを光弾性効果と呼び、発生する複屈折や位相差の量は応力に比例し、

その比例係数(光弾性係数)は材料ごとに一定。

応力Stress
応力なし
応力Stress
応力印加

複屈折= β×応力F (1012Pa)

※つまりT(テラ)Pa単位の応力に光弾性係数を掛けると複屈折量になる。

位相差δ(nm) = β×厚さd (cm)×応力F (105 Pa)       

 ~βは光弾性係数 [ 1012/Pa ]

例えば、厚さ1mmの石英に1MPa(106Pa)の応力で発生する位相差は   

3.5×0.1×10=3.5nm     

と計算できる。

材料光弾性係数(10-12/Pa)
石英3.5
ポリカーボネート75
アクリル樹脂6
一般的な光学ガラス0.5
鉛ガラス0.005

※水晶の複屈折は約0.01(1.55-1.54)、石英で同等の複屈折が得らる応力は0.003TPa=3GPa。

 これ程大きな応力は発生しにくい。一般には光弾性による複屈折は水晶より数桁小さい。

※樹脂成型品の複屈折の大半が、光弾性効果ではなく、分子配向によるとの見解もある。

 従って、複屈折や位相差から、単純に内部応力に換算することは

 殆どの場合適切とはいえない。

 しかしながら、成型条件に依存する光学特性の変化であることには変わりが無く、

 有効かつ重要な評価指標として活用されている。

偏光、複屈折、位相差、光弾性のまとめ

複屈折の分布を評価すると、サンプルの内部歪み分布や分子配向分布などが把握できる。

複屈折を持つ物質は、透過した光線の偏光状態を変化させる。

            ↓

従って、透過前後の偏光状態を比較すると、複屈折を評価できる。

            ↓

複屈折の評価技術=偏光計測技術+比較演算技術

※複屈折測定装置は、ハードウェア要素として、偏光計測装置であることが不可欠です。

複屈折birefringence

可能な計算の流れ

①偏光計測

②位相差の算出 (偏光状態の変化から計算)

③複屈折の算出 (位相差とサンプル厚さから計算)

④応力の算出 (複屈折と光弾性係数から計算)

計算上は複屈折や応力まで算出可能です。しかしながら、 

a.サンプル厚分布データを用いる煩雑さ、

b.実用上重要な数値は、複屈折ではなく位相差であることが多いこと、

c.複屈折の原因が応力だけである場合が少ないこと、

などの理由で、②の位相差データまでの解析に留めることが一般的です。

2. 偏光イメージセンサーの構造と原理

偏光イメージセンサーの基本構造

偏光子フィルタ集積素子をCCD前面に配置した構成

イメージセンサーImage sensor

偏光イメージセンサーの仕組みと測定原理

隣接4画素の比較、演算により偏光情報を計測

[入射偏光と出力パターン]
イメージセンサーImage sensor

[演算方法の概略 ]
偏光子の透過軸角度
        偏光子 透過軸角度

4画素の比較をすると、

45度刻みではなく、

あらゆる角度の 偏光方位を

算出することができる。

輝度画像
偏光状態に対応した市松模様
演算処理の画像化

各点の複屈折情報(主軸方位と大きさ)が

同時にデータ化される。

レンズの測定例

レンズ測定画像の位相差分布
位相差分布
レンズ測定画像の位相差主軸方向分布
位相差の主軸方向分布
円周方向の位相差分布グラフ
     円周方向の位相差分布グラフ

・詳細な定量比較が可能

・わずかな傾向変化の抽出が容易

3. 装置の基本構成と評価例

①光源の偏光状態分布を取得            ②サンプル透過後の偏光状態分布を取得

③各画素の偏光状態の変化から、複屈折の量と軸方位を算出。

2次元複屈折評価システム PAシリーズ
実際の測定装置外観

円偏光フィルタを用いる理由

光源が直線偏光の場合、これと同じ方向の軸を持つ複屈折が検出できない。

光源を円偏光にすることで、全方向に軸を持つ複屈折が同時に検出可能になる。

PAシリーズによる測定例(1)

レンズの複屈折分布評価
レンズの複屈折分布評価
光学ガラスの複屈折分布評価
光学ガラスの複屈折分布評価
複屈折軸方向の
カラー表示対応図

PAシリーズによる測定例(2)

PAシリーズの光学顕微鏡タイプでは微細なサンプルの複屈折分布も観察可能。

光ファイバー断面の複屈折分布評価
光ファイバー断面の複屈折分布評価
定量解析が任意線上、領域で可能
定量解析が任意線上、領域で可能
2次元複屈折評価システム PAシリーズ

PAシリーズによる測定例(3)

樹脂成形品(試験片)の材料による歪み分布の違い評価

樹脂成形品(試験片)の材料による歪み分布の違い評価
試験片の矢印ライン上の位相差分布
上記試験片の矢印ライン上の位相差分布

成形材料(及び成形方法)による複屈折の違いが視覚的/定量的に比較できる。

※PCは実際には歪みが最も大きいが、PAシリーズでは大きすぎる為に測定値が正しくない。

2次元複屈折評価システム PAシリーズ

PAシリーズの測定限界

複屈折の面内分布を定量評価できるPAシリーズには、

測定できる位相差の上限が、λ/4までに制限されるという短所がある。

応力

コの字部材に徐々に大きな力を加えていったときの位相差分布の変化

印加応力

測定波長(520nm)の1/4以上の位相差では折り返された値が示される。

大きな位相差変化のあるサンプルでは、実際には無いうねりが表示される。 

PAシリーズは、100nm程度以下の位相差のサンプルに、定量測定の用途が限定される。

4. 測定レンジの限界とその拡張(WPAシリーズ)

測定レンジの拡張手段 (その1. 偏光子回転式と波長板回転式)

【偏光イメージセンサ構造の比較】

◆PAシリーズ

向きの異なる偏光子の集積素子をCCDと一体化。

偏光子回転式の測定原理。

集積偏光子
偏光子回転式の基本構成(従来技術)

◆WPAシリーズ

向きの異なる波長板の集積素子と一様な偏光子とCCDと一体化した、3層構造の新型偏光センサーを内蔵。

波長板回転式の測定原理。

集積波長板
波長板回転式の基本構成(従来技術)

測定原理の違いにより、WPAシリーズは測定レンジが2倍になる

測定レンジの拡張手段 (その1. 偏光子回転式と波長板回転式)

測定原理:フィルタを回転させたときの光量変化の仕方から偏光情報を判断する。

            ↓

・偏光子回転式では、楕円(円)偏光の回転方向が区別つかない。

・波長回転式では、楕円(円)偏光の回転方向の区別がつく。

            ↓

『波長板回転式の方が測定レンジが広い』

測定レンジの拡張手段 (その2. 複数波長の測定結果の比較演算)

偏光センサの改良に加えて、複数波長で測定した結果を比較する方式の採用により、測定レンジを更に拡大。

◆複数波長で測定レンジが拡大する理由

単一波長では波長以上の位相差は原理的に区別不能

別な波長での測定値と比較するとレンジが拡大する

複数波長測定の概念図

【図を用いた補足説明】

左図の赤線の波グラフで、縦軸の値から横軸の値を決めようとしてみる。すると、縦軸がαになる横軸の値には、A、A+λ、A+2λ…など複数の候補値を持ち、これらを識別することはできない。しかし、緑線の値も併せて考慮すると、上記3点は緑線上では異なる値であり、識別可能になる。

◆装置の基本構成比較

PAシリーズには測定波長(520nm)だけを透過させる波長フィルタが内蔵されているが、

WPAシリーズではレンズの前にレボルバー式の可変波長フィルターが配置されている。

PA/WPA方式のフィルター構成

PAシリーズとWPAシリーズの装置構成比較

PA/WPAシリーズの装置構成

WPAシリーズの測定レンジ

1波長を超える大きな位相差の測定が実現。

応力

コの字部材に徐々に大きな力を加えていったときの位相差分布の変化

印加応力
印加応力のライン解析結果
各図白線上の位相差分布グラフ
2次元複屈折評価システム WPAシリーズ

PAシリーズとWPAシリーズの測定データ比較

◆ 位相差が数100nmのサンプル(樹脂レンズ)の測定例

位相差が数100nmのサンプル(樹脂レンズ)の測定例
【PAシリーズの測定データ】
【WPAシリーズの測定データ】
赤線上の位相差分布グラフ比較

PAシリーズも、レンズ中央付近の100nm程度以下の領域はWPAシリーズと同じ正しい測定結果が得られている。

レンズ周辺の大きな位相差領域でも、WPAシリーズでは正しい測定結果を得ることができる。

まとめ

複屈折評価の原理や評価手法と合わせて、複屈折分布を高速に測定するための

キーパーツ、偏光イメージセンサの構造と機能をご紹介しました。

また、PAシリーズとWPAシリーズの装置外観や測定データを比較しながら

その違いをご紹介いたしました。

今回ご紹介した内容はこちらからpdfでのダウンロードも可能です。

論より証拠!Webデモでその結果を体感できます。

複屈折、偏光、位相差に関する当社の技術や、装置の原理の理解をご理解いただきたいのはもちろんですが

まずはその性能を体感していただく方が早いかもしれません。

当社ではWebを使った遠隔デモで装置、ソフトのご紹介の仕組みを準備しています。

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